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従業員に注意できない…ハラスメントが不安な経営者のための「伝え方」3ステップ

「勤務態度を注意したいけれど、強く言って辞められたら困る」「ハラスメントだと言われたらどうしよう」——そんな不安から、従業員への注意や指導をためらっている経営者の方は少なくありません。SNSで職場の評判が広がる時代でもあり、慎重になるお気持ちはよく分かります。

一方で、問題をそのままにしておくと、まじめに働いている他の従業員から「あの人だけ許されている」という不満が生まれ、職場全体の雰囲気に影響が出てしまうこともあります。

この記事では、適切な指導とハラスメントの違いを整理したうえで、事実にもとづいて落ち着いて伝えるための3つのステップをご紹介します。

「注意・指導」と「ハラスメント」は別のもの

まず押さえておきたいのは、業務上必要な注意や指導そのものは、ハラスメントとは区別して考えられているという点です。国の指針でも、職場のパワーハラスメントは「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」言動であることが要素の一つとされており、客観的にみて業務上必要な範囲で行われる適正な指導は該当しないと整理されています(要確認:厚生労働省「あかるい職場応援団」等のパワーハラスメント関連指針)。

つまり、問題になりやすいのは「注意すること」自体ではなく、その伝え方や内容です。一般的に、次のような伝え方は避けたほうがよいとされています。

  • 人格や性格を否定する言い方(「だからお前はダメなんだ」など)
  • 大勢の前で叱責する、長時間繰り返し責める
  • 業務と関係のない事柄(家庭・容姿など)に踏み込む
  • 感情にまかせて怒鳴る

裏を返せば、業務上の事実にもとづいて、必要な範囲で、冷静に伝えることができれば、指導をためらう必要はないということになります。ただし、ハラスメントに当たるかどうかは個別の状況によって判断が異なるため、迷うケースでは専門の相談先に確認することをおすすめします。

次の章から、具体的な3つのステップを見ていきましょう。

事実にもとづいて伝える3つのステップ

ステップ1:事実を整理する

伝える前の準備が、この手順の中でいちばん重要な部分です。「態度が悪い」「やる気がない」といった印象のままでは、本人に伝わりにくく、水掛け論にもなりがちです。印象を、日付や場面のある事実に置き換えていきます。

  • 「態度が悪い」→「○日の朝、来客への挨拶がなかった」
  • 「仕事が遅い」→「○○の作業に、他の担当者の倍の時間がかかっている」
  • 「協調性がない」→「○日のシフト変更の連絡に返答がなかった」

あわせて、「本当はどうしてほしいのか(期待する行動)」も言葉にしておきます。注意のゴールは相手を責めることではなく、行動が変わることだからです。事実と期待をメモ1枚にまとめておくと、当日落ち着いて話しやすくなります。

ステップ2:場を整えて伝える

伝えるときは、内容と同じくらい「場」の設定が大切だと言われています。

  • 他の従業員がいない場所・時間を選ぶ(人前での注意は避ける)
  • 短く区切る(長時間の説諭は避け、要点を1〜2つに絞る)
  • 事実 → 影響 → 期待の順で話す
    例:「○日の納品確認が漏れていました(事実)。お客様への連絡が遅れてしまいました(影響)。次からは出荷前にチェック表を使ってもらえますか(期待)」
  • 相手の言い分も聞く(事情や理由がある場合、対応が変わることもあります)

また、日頃の貢献に触れてから本題に入ると、本人も受け止めやすくなる場合があります。「責める場」ではなく「仕事の進め方をすり合わせる場」という位置づけを意識してみてください。

ステップ3:その後を見守り、記録する

伝えて終わりにせず、その後の様子を見守ります。

  • 改善が見られたら、その場で短く言葉にして伝える(「直っていて助かったよ」など)
  • 改善が見られない場合は、期間をおいて同じ手順で再度伝える
  • いつ・何を・どう伝えたかを簡単に記録しておく

記録は、感情的なメモではなく「日付・事実・伝えた内容・本人の反応」を淡々と残すのがポイントです。指導の経過が残っていることは、後々対応を検討する際の材料にもなり、経営者自身の安心材料にもなります。

それでも改善しない・こじれそうなとき

手順を踏んで伝えても改善が見られない、あるいは本人との関係がこじれてしまいそうだ——そんなときは、一人で抱え込まず外部の力を借りる段階だと考えられます。

雇用契約や就業規則との関係、配置転換や処分の可否といった話になると、個別の事情によって判断が異なり、対応を誤ると経営者側のリスクにもなりかねません。社会保険労務士などの専門家や、労働関係の公的な相談窓口に、状況を整理したうえで確認することをおすすめします(要確認:千葉県内の労働相談窓口・総合労働相談コーナー等の最新案内)。

千葉県内の中小企業でも、従業員数が少ないぶん一人ひとりとの距離が近く、だからこそ言いにくい——という声は珍しくありません。同じ悩みを抱える経営者は多い、という前提で相談してみてください。

従業員への対応、一人で判断していませんか?
注意・指導の進め方や労務の悩みは、状況によって適切な対応が異なります。公的な無料の経営相談窓口では、こうした「人の悩み」についても、状況の整理からお手伝いすることができます。就業規則や専門家への橋渡しが必要な場合の道筋も含めて、まずは話してみることから始めてはいかがでしょうか。

まとめ

業務上必要な注意・指導は、ハラスメントとは区別して考えられています。大切なのは、印象ではなく事実にもとづき、場を整えて、冷静に伝えることです。

この記事では、「事実を整理する」「場を整えて伝える」「その後を見守り、記録する」という3つのステップをご紹介しました。完璧に話せなくても構いません。事実のメモを1枚用意するところから始めてみてください。判断に迷うケースや、こじれてしまいそうな場合は、早めに公的な相談窓口や専門家に確認しておくと安心です。

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