経営相談

その手があったか!早いほど効く「経営改善計画」に挑戦してみる

順調なはずが、手元に現金がない。起業3〜5年目の「資金の壁」

起業直後の慌ただしい時期を乗り越え、少しずつ顧客が増え、売上も安定してくる起業3〜5年目。事業が軌道に乗り始める一方で、「忙しく働いているのに、なぜかお金が残らない」という新たな悩みが生まれやすい時期でもあります。

売上の増加に合わせて、仕入れや外注費、人件費、広告費などの支出も増えます。さらに、設備投資や借入金の返済、税金や社会保険料の支払いが重なると、帳簿上は利益が出ていても、自由に使える現金は思ったほど増えていないことがあります。

これは、事業がうまくいっていないからではありません。事業の規模が変わり、お金の流れが起業当初より複雑になったことで、これまでの管理方法では見えにくい課題が生まれている可能性があります。

順調に見える今だからこそ、一度立ち止まり、売上だけでなく「いつ入り、何に出ていくのか」という資金の流れを整理することが大切です。

売上は立っているのに、支払いに追われる不安

起業から3〜5年が経ち、ありがたいことに顧客も定着してきた。売上自体は着実に伸びていて、帳簿上もしっかり利益が出ている。それなのに、「なぜか月末になると手元の現金が足りず、支払いに追われている」「自分の手元に利益が残っている実感がない」——そんな焦りを感じていませんか。

事業を軌道に乗せることに無我夢中で走り抜けてきた個人事業主・小規模事業主が、この時期に必ずと言っていいほど直面するのが、この「資金繰りの壁」です。まず知っておいてほしいのは、これはあなただけが抱える問題ではなく、この成長段階で誰もが通る、いわば“あるある”だということ。だから、一人で抱え込まなくて大丈夫です。

「経営改善計画」は、大企業や赤字企業だけのもの?

こうした不安への手立ての一つが「経営改善計画」です。とはいえ、この言葉を聞くと「赤字続きの大きな会社が作るもの」「専門知識がないと作れない分厚い書類」というイメージを抱きがちです。

実は、それは大きな誤解です。経営改善計画は、倒産寸前の企業が窮地を脱するためだけのものではありません。むしろ、日々の業務に追われて複雑になってしまった事業のノイズを取り除き、シンプルで身軽な状態へと「整理」するための、前向きなツールなのです。

なぜ「現金が残らない」のか?黒字倒産を防ぐ現状把握

利益と手元資金のズレが生むリスク

売上(利益)はあるのに現金がない——これは「黒字倒産」の入り口とも言える状態です。原因はシンプルで、入金と支払いのタイミングにズレが生じているからです。

たとえば、売上の入金が2ヶ月後なのに、仕入れ代金や外注費の支払いは翌月に発生する。すると帳簿上は黒字でも、一時的に手元の現金は底をつきます。さらに、少しずつ増えた固定費や、不要になった在庫が、気づかないうちにキャッシュを圧迫しているケースも少なくありません。

【図解】利益とキャッシュの違い(入出金サイクルのズレ)

※100万円の売上(経費80万円:仕入30万+外注費50万)の仕事を受注し、納品した場合

時間の経過1ヶ月目(受注・納品)2ヶ月目3ヶ月目
① 帳簿上の数字
(利益)
売上:100万円
経費:-80万円利益:+20万円
(計上なし)(計上なし)
② 実際の現金
(キャッシュ)
仕入支払:-30万円外注支払:-50万円売上入金:+100万円
手元資金の累計▲ 30万円▲ 80万円
🚨資金ショートの危機
+ 20万円
(ようやく利益と一致)

帳簿上の「利益」はすぐに使えるお金ではない
表の①を見ると、1ヶ月目の納品時点で「20万円の黒字」として記録されます。しかし、表の②を見てわかる通り、売上が入金されるのは「3ヶ月目」です。仕入や外注費の支払いが先行するため、2ヶ月目の時点で手元資金は「一時的に80万円のマイナス」になります。もしここで税金や生活費の支払いが重なれば、帳簿上は黒字なのに事業が止まってしまいます。これが黒字倒産の正体です。

よくある間違い:一人で悩み、現状維持を続けること

手元の現金が心許なくなると、多くの事業主は「とにかくもっと売上を増やさなければ」と考えます。しかし、根本のお金の流れ(ビジネスモデル)を見直さないまま、ただ労働時間を増やし、利益率の低い案件まで抱え込むのは危険なNG行動です。

一人で数字への不安を抱え込み、体力と気力をすり減らすだけの現状維持は、いずれ限界を迎えます。売上を「足す」前に、まず無駄を「引く」。順番を変えるだけで、見える景色が変わります。

経営改善計画は「引き算」で作る。無駄を省き、事業を身軽にする

複雑なエクセルは不要。必要なのはシンプルな「棚卸し」

経営改善計画を作るからといって、複雑なエクセルの数式を組んだり、ゼロから立派な事業計画書を書き上げたりする必要はありません。いま必要なのは、事業の「引き算」です。

たとえば——現金管理の手間を省くためにキャッシュレス決済へ移行する。用途が細分化された備品やツールを一つにまとめる。日々の煩雑な日報をGoogleフォームなどのクラウドツールに置き換える。こうした「削ぎ落とし」で現場のノイズをなくし、何に、どれだけコストがかかっているかを“見える化”することが、経営改善の第一歩です。

売上を「足す」前に、まず無駄を「引く」。当てはまる項目にチェックしてみましょう。
チェックが付かなかった項目が、そのまま見直しの候補になります。

■ お金の流れ(キャッシュ)を引く
☐ 入金と支払いのタイミング(サイト)のズレを把握している
☐ 売掛金の回収を早める工夫をしている(前受け・即時決済・締め日の見直しなど)
☐ 使っていないサブスク・固定費を解約した
☐ 滞留している在庫・不要な仕入れを見直した
☐ 利益率の低い案件を「やめる/見直す」判断をしている

■ モノ・ツールを引く
☐ 用途が重なる備品・ツールを1つに統合した
☐ 使っていないソフト・サービスを棚卸しした
☐ 現金管理の手間をキャッシュレスで減らした
■ 手間・作業を引く
☐ 煩雑な日報・帳票をクラウドに置き換えた(Googleフォーム等)
☐ 手作業の転記をなくした(会計ソフト連携・自動化)
☐ 自分にしかできない業務を1つでも手順化した

■ 仕事・付き合いを引く
☐ 割に合わない値引き要求・取引を見直している
☐ 特定1社への売上依存(一社依存)の度合いを把握している

■ 抱え込みを引く(一人で背負わない)
☐ 数字やお金の不安を、誰かに話せている
☐ 顧問・専門家・公的窓口に相談したことがある

チェックが付かなかった項目は、まだ手をつけていない「引き算」の候補です。全部を一度にやる必要はありません。気になるものから、一人で抱え込まず、無料相談で一緒に整理しましょう。

一人で抱え込まず、地域の専門家をフル活用する

とはいえ、自分一人で自社の無駄を客観的に見つけ出すのは至難の業です。経営者は現場の最前線にいるため、どうしても「今のやり方が当たり前」と思い込んでしまうもの。

そこで頼りたいのが、第三者の視点です。地域の公的機関にいる専門家の目を入れると、自分では気づけなかった無駄や、逆に磨くべき強みが、くっきりと浮かび上がります。「引き算」の作業こそ、プロの力を借りるのが最も確実でスピーディです。しかも、こうした計画づくりには認定経営革新等支援機関などの専門家費用の一部を公的に補助する制度もあり、早めの着手を後押しする仕組みが用意されています(制度名・補助率・要件は要確認)。

専門家と作る、「早いほど効く」無料の壁打ち相談

資金が底をつく前の「今」、動くべき理由

経営改善への着手は「早いほど効く」のが鉄則です。手元の現金が完全に底をつき、日々の支払いが滞ってからでは、金融機関からの追加融資や補助金の活用など、打てる手が一つ、また一つと狭まってしまいます。

「まだなんとか回っている」「売上自体は悪くない」という余力がある今こそ、計画を見直すベストタイミング。早く動くほど、傷は小さく、選べる手は多くなります。これが、事業を次のステージへ進める最大の“防御”になります。

直近の決算書だけでOK。相談窓口への第一歩

「相談に行くにしても、立派な資料を作らないと…」と心配する必要はありません。事前の面倒な準備は不要です。

相談に持参する最小限の持ち物リスト

■ まずはこれだけ(あると話が早い)
☐ 直近の決算書、または確定申告書(1期分でOK)
☐ 借入の一覧(借入先・残高・毎月の返済額がわかるもの。通帳やネットバンキングの画面でも可)
☐ 直近の売上がわかるもの(試算表・会計ソフトの画面など。あれば)

■ あると、より具体的に話せます(任意)
☐ 資金繰りの実感メモ(いつ・いくら足りなくなりそうか、ひとことで)
☐ いちばん不安なこと・聞きたいことのメモ

■ 用意しなくて大丈夫なもの(安心してください)
・立派な事業計画書や、きれいに整えた資料 … 不要です
・細かい・正確な数字 … 曖昧でも構いません

直近の決算書(または確定申告書)だけをカバンに入れ、まずは「売上はあるのに現金が残らなくて不安だ」という現状を、そのまま伝えに行きましょう。完璧な資料より、早く相談に行くことのほうが、ずっと大切です。

一人で悩まず、まず無料相談を

くり返しになりますが、経営の立て直しは早く動くほど、選べる手が多いのが鉄則です。そしてその第一歩は、無料で、中立に踏み出せます。「経営改善計画」を“身軽になるための整理術”として知った今が、まさに動きどきです。

まとめ

身軽な経営への第一歩を、今日から

「経営改善計画」は、赤字企業の最終手段ではありません。複雑になった事業を整理し、身軽にするための“引き算”の設計図です。複雑なエクセルも、立派な書類もいりません。必要なのは、現状をそのまま誰かに話す勇気と、早く動くことだけ。

専門家と一緒に作れて、費用を公的に支える仕組みもあり、千葉には無料で相談できる窓口があります。一人で抱え込まず、身軽な経営への第一歩を、今日から踏み出してみてください。

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