経営相談

小さな会社の生成AI活用例——お知らせ・SNS・POP・求人票、「書く仕事」はこう頼む

「ChatGPTでお知らせ文を作ってみた。便利だとは思ったけれど、それ以上の使い道が思いつかない」——生成AIを一度触った人が、次にぶつかるのがこの壁です。一方で現実には、SNS投稿は3週間止まり、POPは手つかず、求人票は何年も同じ文面のまま。「書く仕事」は山積みで、一人で店を回している——そんな状況ではないでしょうか。

生成AIの使いどころを広げる鍵は、機能を学ぶことではなく、頼み方の「型」を一つ覚えることです。型が身につけば、同じ要領であらゆる「書く仕事」に応用できます。

この記事では、その型と、小さな会社の業務別の活用例をご紹介します。

結果が変わる「頼み方の型」——設計図は人間が持つ

「SNSの投稿を書いて」とだけ頼むと、どこにでもあるような文章が返ってきます。生成AIは、こちらが渡した情報の範囲でしか書けないからです。逆に言えば、何を作りたいかの設計図は人間が持ち、AIには部品づくりを任せる——この分担ができると、結果は一変します。

頼むときに渡す設計図は、次の5点です。

  1. 自分の立場:「○○市の小さな洋菓子店の店主です」
  2. 目的:「新作シュークリームの発売を知らせて、来店につなげたい」
  3. 相手:「30〜50代の、近所の常連のお客様」
  4. 雰囲気・条件:「親しみやすく、絵文字は少なめ、150字以内」
  5. 材料:「価格は320円、金曜発売、卵は地元の△△農園のもの」

この5点を渡して「Instagram投稿の文案を3案」と頼む——これが基本の型です。ポイントは必ず複数案(3案など)頼むこと。1案だと採否の判断しかできませんが、3案あれば「2案目の書き出しと3案目の締めを組み合わせる」といった選ぶ編集ができます。

業務別の活用例

SNS投稿・販促文

  • 「今月の投稿ネタを、季節の話題と絡めて10個挙げて」→ ネタ切れの解消に
  • 型の5点を渡して「投稿文を3案」→ 3週間止まっていた投稿の再開に
  • 「この投稿文を、LINEのお知らせ用に書き換えて」→ 一つの内容の使い回しに

投稿の頻度が続かない一番の原因は「毎回ゼロから考える」ことです。ネタ出しと下書きをAIに任せるだけで、続けるハードルは大きく下がります。

POP・チラシの言葉

  • 「この商品の特徴(材料・製法・こだわり)はこれ。お客様に響くPOPの一言を、切り口を変えて5案」
  • 「値上げのお知らせPOPを、正直で感じのよい文面で3案」

キャッチコピーはAIの得意分野ですが、商品の事実(材料・製法・想い)を渡せるのは店主だけです。事実が濃いほど、返ってくる言葉も濃くなります。

求人票の書き直し

  • 「この求人票の文面を、仕事内容が具体的に想像できるように書き直して。1日の流れも入れて」
  • 「子育て中の方に応募してもらいやすい表現の工夫を提案して」

何年も同じ文面の求人票は、書き直しの効果が出やすい定番です。ただし、労働条件の記載には決まりがあるため、条件面の記述は必ず自分で確認してください(要確認:ハローワーク等の求人記載ルール)。

接客・商談の準備

  • 「お客様から○○という苦情が来た。返事の文面を、誠実さが伝わる形で2案」
  • 「取引先に値上げをお願いする面談がある。想定される反応と、それへの答え方を挙げて」

書く仕事だけでなく、難しい場面の予行演習にも使えます。一人経営では相談相手がいない場面こそ、案を並べてから考える価値があります。

出てきた案を育てる——「直しの注文」のコツ

最初の出力が期待と違っても、そこで閉じないでください。生成AIは注文をつけて育てる道具です。

  • 方向を直す:「もっとくだけた感じに」「高級感を出して」
  • 長さを直す:「半分の長さに」「もう少し詳しく」
  • 部分を直す:「2案目の書き出しはそのままで、締めだけ変えて」
  • 事実を足す:「営業時間の変更も入れて」

そして仕上げは必ず人間の目で行います。事実の確認(価格・日付・固有名詞)、自分の言葉らしさへの調整、お客様の顔を思い浮かべた最終判断——ここは道具に任せられない、任せてはいけない部分です。誇大な表現になっていないかの確認も忘れずに(広告表現には法令上の決まりがある分野もあります。要確認:業種ごとの表示ルール)。

なお、使い方に慣れてきたら、社内で使う際のルールづくりも検討しましょう(別記事で扱います)。千葉県内でも、生成AIの業務活用は公的支援機関の相談・セミナーで扱われるようになってきたテーマです。

「うちの業務のどこに効くか」を、一緒に洗い出せます。
自社の「書く仕事」の棚卸し、頼み方の型の練習、活用の優先順位づけ——公的な無料の経営相談窓口では、自社の実務に引きつけた生成AI活用の検討を一緒に行うことができます。山積みの書き仕事を、一人で抱え込む働き方から変えてみませんか。

まとめ

生成AI活用の鍵は、「立場・目的・相手・雰囲気・材料」の5点を渡して複数案を頼む——この型を一つ覚えることです。SNS・POP・求人票・接客準備まで、同じ型で応用できます。

設計図(何を作るか、何が事実か、最後にどう判断するか)は人間が持ち、AIには下書きという部品を任せる。この役割分担を守れば、生成AIは小さな会社の「書く仕事」を確かに軽くしてくれます。まずは止まっているSNS投稿のネタ出し10個から、試してみてください。


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