人が少なくても有休は取れる——小さな会社の年次有給休暇、取りやすくする3つの工夫
「スタッフから有休の申請があった。断れないのは分かっているが、この人数でどう店を回せばいいのか」——予約制のサロンや小さな店舗、少人数の事務所では、一人が休むことが売上や業務に直結します。だからこそ、有給休暇の話題をなんとなく避けてきた、という経営者の方もいるのではないでしょうか。
現在は、一定の条件を満たす従業員に年5日の有給休暇を確実に取得させることが、企業規模を問わず使用者に義務付けられています(要確認:厚生労働省の年次有給休暇の時季指定義務に関する最新案内。パート・アルバイトへの適用条件も含む)。「取らせられない」で済ませることは難しくなっているのが実情です。
ただ、視点を変えると、有休は前もって設計すれば怖くないものでもあります。この記事では、少人数の職場でも有休を取りやすくする3つの工夫をご紹介します。
まず押さえたい、有休の基本的な考え方
工夫の前に、前提となる考え方を簡単に整理します。
- 有給休暇は、勤続期間などの要件を満たした従業員に法律上付与されるもので、正社員に限らずパート・アルバイトにも所定の条件に応じて付与されます(要確認:厚生労働省の案内)
- 使用者には、繁忙などを理由に取得時季の変更を求められる場合がある一方、取得そのものを拒むことは基本的にできないとされています(要確認:同上。個別の可否は専門窓口へ)
- 年5日の確実な取得義務や年次有給休暇管理簿など、管理面の決まりもあります(要確認:同上)
制度の細部は個別の状況によって判断が異なるため、この記事では深入りせず、「取れる前提で、職場をどう設計するか」という実務の工夫に焦点を当てます。制度面で判断に迷う場合は、労働関係の専門窓口や社会保険労務士への確認をおすすめします。
少人数でも回る、有休の3つの工夫
工夫1:「突発」ではなく「計画」で取る
少人数の職場で有休がつらいのは、多くの場合「急に言われる」からです。逆に言えば、前もって分かっていれば、シフトも予約枠も調整できます。
- 年間の閑散期に取得月をつくる:業種ごとの暇な時期(例:連休明け、季節の谷間)に「有休推奨月」を設定し、その月のシフトを最初から1人少ない前提で組む
- 年初・年度初めに希望を聞く:「今年、休みたい時期はある?」を先に聞いてしまい、予約や受注の計画に織り込む
- 計画的付与(計画年休)の検討:会社が計画的に有休の取得日を割り振る制度もあります。導入には労使協定などの要件があるため、検討する場合は専門窓口へ(要確認:厚生労働省の計画的付与制度の案内)
「申請が来てから慌てる」を「先に計画に入れる」へ変えることが、いちばん効果の大きい工夫です。
工夫2:1つの業務を複数人でできるようにする
「あの人が休むと回らない」のは、有休の問題というより業務の属人化の問題です。
- 各業務について「主担当+できる人1名」の体制を目標にする
- レジ締め・発注・開店準備など、日々の定型業務から手順書(写真+箇条書きで十分)を作る
- 予約制の業種なら、指名や担当の一部を「チーム対応」に切り替えられないか検討する
複数人化は、有休だけでなく急な病欠や退職への備えにもなります。すべての業務で一気に進める必要はなく、「この人が休むと止まる業務」から順に手をつければ十分です。
工夫3:言い出しやすい空気とルールをつくる
制度があっても、「言い出しにくい空気」があれば有休は取られません。そして取られない有休は、不満として静かに積もっていきます。
- 申請ルールを決めて公平にする:「○日前までにこの方法で」と明文化し、誰が出しても同じ扱いにする
- 理由を聞かない:有休の取得に理由は本来必要ないとされています。「どこか行くの?」も人によっては圧に感じられます
- 経営者・ベテランから取る:上の人が休まない職場では、下の人は休めません。まず自分が休む姿を見せる
- 休んだ人を責めない・休みの日に連絡しない:この2つが守られるだけで、空気は大きく変わります
「休める職場」は採用と定着の武器になる
有休対応は義務としての側面だけでなく、人手不足時代の「攻め」の材料でもあります。求職者が職場を選ぶとき、休みの取りやすさは重視されやすい条件の一つと言われています。「有休取得を計画的に進めています」「希望休は理由を聞きません」と求人票に具体的に書ける会社は、賃金以外の土俵で選ばれる可能性が広がります。
また、休める体制づくりの過程で進む業務の複数人化や手順書化は、職場全体の生産性向上にもつながります。千葉県内でも、休暇制度の運用や職場づくりは公的な支援機関で扱われている相談テーマです。制度の細部は労務の専門窓口へ、職場の回し方の設計は経営相談へ、と使い分けるのがおすすめです。
「うちの規模でどう回すか」を、一緒に設計できます。
シフトの組み方、業務の複数人化、求人への活かし方——公的な無料の経営相談窓口では、有休を取れる職場づくりの実務面を、自社の状況に合わせて一緒に検討することができます。制度の適用条件など労務面の確認と並行して、まずは「計画に織り込む」第一歩から始めてみませんか。
まとめ
人が少ない職場でも、有休は「突発ではなく計画で取る」「業務を複数人でできるようにする」「言い出しやすい空気とルールをつくる」という3つの工夫で、無理なく回せる形に近づけることができます。
有休対応は義務であると同時に、採用と定着の武器にもなります。まずは年間の閑散期を見つけて、有休を計画に織り込むところから始めてみてください。制度の詳細や自社への適用条件は、必ず最新の一次情報と専門窓口で確認しましょう。



