経営相談

創業の優遇措置がある、と聞いたら——特定創業支援等事業という制度の仕組みと使い方

会社設立の準備中、先輩起業家から気になる一言を聞いた——「市の創業支援を受けてから設立すると、登録免許税が安くなるらしいよ」。……何それ、初耳。調べようにも制度の名前が分からず、「創業 優遇」で検索しては情報の海に迷っている。自分が対象なのかも、何をすればいいのかも分からない——。

その制度、名前があります。「特定創業支援等事業」——国の法律(産業競争力強化法)に基づいて、市区町村が創業支援の計画を作り、認定された支援を受けた創業者に、証明書と各種の優遇が用意される仕組みです。

この記事では、制度の骨格と使い方の流れを解説します。大切な注意を先に——優遇の内容・要件・手続きは市区町村や時期によって異なるため、この記事は「仕組みの地図」に徹し、具体的な内容は必ずお住まい(創業予定地)の市区町村に確認してください

制度の骨格——「認定された支援」を受けると「証明書」が出る

仕組みを一本の線にすると、こうなります。

市区町村が創業支援の計画を作り、国の認定を受ける → その計画に位置づけられた支援(=特定創業支援等事業)を、創業者が一定の期間・回数にわたって受ける → 市区町村に申請すると「支援を受けた証明書」が交付される → 証明書を使うと、各種の優遇措置の対象になり得る

ポイントは3つです。

  • 主役は市区町村:制度の実施主体はお住まいの(創業予定地の)市区町村です。どの支援が対象か、証明書の申請方法——すべての起点がここにあります(要確認:該当の市区町村の案内)
  • 「認定された支援」を受けることが条件:どんな創業セミナーでもよいわけではなく、計画に位置づけられた支援であることが必要です
  • 「一定期間・継続的に」が一般的:1回きりの受講ではなく、複数回・一定期間にわたる支援(例えば、経営・財務・人材育成・販路開拓の知識が身につく継続的な支援)が求められるのが一般的です(具体的な回数・期間の要件は要確認)

「支援を受ける」とは何をするのか

身構える必要はありません。対象となる支援の中身は、多くの場合、創業者がどのみち受けたい支援そのものです。

  • 継続的な創業相談(窓口での個別相談を複数回)
  • 創業セミナー・創業塾(連続講座形式)
  • 専門家による伴走支援 など

つまりこの制度は、「優遇のために特別な何かをする」のではなく、「事業計画づくりや創業の学びを、認定された窓口で受ければ、優遇もついてくる」という設計です。このシリーズで紹介してきた相談・セミナー・伴走(相談の使い方、セミナーの受け方の記事などをご参照ください)と、中身は地続き——だからこそ、「どうせ受けるなら、制度に乗る受け方を」が本記事の結論になります。

なお、支援機関やインキュベーション施設の相談・講座がこの事業に該当している場合があります。利用中・利用予定の窓口が該当するかは、その窓口と市区町村に確認してください(要確認:自施設・自機関の該当状況)。

証明書で何が変わり得るのか——優遇の考え方

証明書によって対象になり得る優遇には、会社設立時の税負担の軽減(先輩の言っていた「登録免許税」の話はこれです)や、融資・保証の要件面での取り扱い、補助金での扱いなど、創業期のお金と手続きに関わるものが含まれ得ます。

ここであえて具体の列挙を控えるのには、理由があります。

  • 優遇の内容・条件は、制度改正や運用で変わり得る:古い情報を信じて設立を進めると、当てが外れます
  • どの優遇が使えるかは、あなたの状況(会社の形態、創業のタイミング、地域)による:一般論ではなく、個別の確認が必要です

確認先は、①市区町村の創業支援担当(証明書と制度全般)②法務局・専門家(設立時の税)③金融機関・信用保証協会(融資・保証関係)——です(要確認:それぞれの最新の取り扱い)。「証明書があると、何がどう変わりますか」と、使いたい優遇の窓口に直接尋ねるのが、最も確実です。

使い方の流れと、注意すべき「順番」

創業準備中のあなたの、実務の流れです。

  1. 創業予定地の市区町村に確認する:「特定創業支援等事業の対象となる支援は何か」「証明書の要件と申請方法」——ここがすべての出発点です
  2. 対象の支援を受ける:認定された相談・セミナーを、要件を満たす形(期間・回数・内容)で受講します。支援には時間がかかる(週単位・月単位)ことを、設立スケジュールに織り込んでください
  3. 証明書を申請・取得する
  4. 優遇を使う場面で提示する:会社設立の手続き、融資の申込など、それぞれの窓口で

最大の注意は順番です。優遇の中には、「設立の前」に支援を受け証明書を得ていることが前提のものがあり得ます。つまり、「設立してから知った」では間に合わない可能性がある——先輩の一言を設立前に聞けたあなたは、幸運です。設立日から逆算して、支援の受講を早めに始めてください(要確認:各優遇の適用条件とタイミング)。

「うちの相談は、対象になりますか?」——その確認から。
当施設・当機関の創業相談やセミナーが特定創業支援等事業に該当するか、証明書までの流れはどうなるか——まずはお気軽にお尋ねください(該当状況・市区町村の手続きの詳細はお問い合わせを)。どのみち受けたい創業支援なら、制度に乗る受け方で。設立の予定日をお聞かせいただければ、逆算のスケジュールも一緒に組めます。

まとめ

特定創業支援等事業は、「市区町村認定の創業支援を一定期間受ける→証明書→各種優遇の対象になり得る」という制度です。支援の中身は、相談や創業塾など、創業者がどのみち受けたいものが中心——だから合言葉は「どうせ受けるなら、制度に乗る受け方を」。

優遇の内容・要件・タイミングは必ず市区町村と各窓口に確認を。とくに「設立前」が条件になり得る点は要注意です。先輩の一言を、証明書に変えるところから始めましょう。


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