【得意分野】
- 法律(法務全般)
- 事業承継・M&A
- 資金繰り・資金調達(融資、条件変更)
- 雇用・人事・労務(就業規則、労務トラブルなど)
- 廃業(再生支援を含む)
【得意業種】
- 製造業
- 卸売業、小売業
- サービス業
【趣味】
野球観戦(阪神タイガース)、ピックルボール、ランニング、Netflix視聴
事業を続けていく中では、資金繰り、契約、人事、事業承継、経営改善など、さまざまな課題に直面します。 その一つひとつを別々の問題として考えるのではなく、経営全体を見ながら整理していくことが重要です。今回お話を伺ったのは、日本政策金融公庫で長年にわたり融資、債権管理、法務、再生支援などに携わり、現在は弁護士・中小企業診断士として活動する湊さんです。金融と法務の両方を知るからこそ見える、中小企業支援のあり方について伺いました。
まずはこれまでのご経歴を教えてください。
大学卒業後、1997年に中小企業金融公庫、現在の日本政策金融公庫に入社しました。東京や大阪の各支店で、融資業務や債権管理業務などを経験した後、法務部門に配属されました。
法務に関する専門性をさらに高めたいと考え、2011年から2年間、早稲田大学大学院法務研究科に通い、2013年に司法試験に合格しました。司法修習を経て2014年に弁護士登録し、その後は公庫に復職して法務部門の管理職として勤務しました。
その後、再生支援部門や都内支店での勤務を経験し、コロナ禍では資金繰りに苦しむ事業者への支援にも数多く携わりました。2025年には大森支店長兼中小企業事業統轄を務め、地域金融機関や商工会議所などとの連携にも取り組みました。同年に中小企業診断士としても登録し、2026年に公庫を退職。現在は弁護士として、中小企業の経営と法務の両面に関わる仕事をしています。
日本政策金融公庫での長いご経験は、現在のお仕事にどのように活きていますか?
非常に大きく活きていると感じています。 公庫では、融資だけでなく、企業審査、債権管理、再生支援、法務、財務分析など、事業者をさまざまな角度から見る経験を積んできました。
特に大きかったのは、数字だけでは企業の実情はわからないということです。決算書や資金繰り表ももちろん重要ですが、その背景には経営者の考えや現場の事情、取引先との関係、従業員の状況などがあります。そうしたものを含めて判断することが、実際の支援では大切です。
今は弁護士という立場ですが、法律だけを見るのではなく、「その会社にとって現実的に何ができるのか」という視点を常に持つようにしています。
「金融と中小企業実務を知る弁護士」でありたいとのことですが、どんな支援を目指していますか?
法律上の答えを示すだけではなく、経営の実情に合わせて一緒に解決策を考えられる弁護士でありたいと思っています。
たとえば、契約や労務の問題一つをとっても、単に法律的に正しいかどうかだけではなく、その対応によって資金繰りにどんな影響が出るのか、取引先との関係がどうなるのか、事業を今後どう続けていくのかまで考える必要があります。
これまで金融機関の立場で数多くの中小企業を見てきたからこそ、経営者の方がどんな状況で悩み、どこで判断に迷うのかも理解しているつもりです。法律と経営、その両方を行き来しながら支援できることが、自分の役割だと考えています。

現在はどのようなご相談に対応していきたいと考えていますか?
企業法務全般はもちろんですが、資金繰りや資金調達、事業承継・M&A、労務問題、経営改善や再生に関するご相談にも力を入れていきたいと考えています。
特に中小企業では、法務と経営の課題が切り離せないことが多いです。資金繰りが悪化したことで取引先との問題が起きたり、人員の問題が経営全体に影響したり、事業承継の話が株式や契約の問題につながったりします。
一つの問題だけを見るのではなく、会社全体を見ながら、どこから整理していくのがよいのかを一緒に考えることを大切にしたいと思っています。
資金繰りや資金調達の支援では、どんなことが重要だと感じますか?
まず重要なのは、早めに現状を把握することです。 資金繰りが苦しくなってから相談するのではなく、「少し厳しくなってきた」「今後が不安だ」と感じた段階で状況を整理できれば、選択肢は増えます。
公庫では、融資だけでなく条件変更や再生支援にも関わってきました。その経験から感じるのは、資金繰りの問題は、数字だけでなく経営全体の課題が表れていることが多いということです。
ですから、単にお金を借りる方法を考えるだけではなく、なぜ資金が足りないのか、今後どう事業を立て直していくのかまで含めて考えることが重要だと思っています。
再生支援や廃業に関わる場面では、どんな姿勢が必要だと思いますか?
まず大切なのは、選択肢をできるだけ冷静に整理することだと思います。 経営が厳しくなると、経営者の方は精神的にも追い込まれやすく、「もう選択肢がない」と感じてしまうことがあります。しかし、実際には事業を立て直す方法、金融機関と調整する方法、事業の一部を引き継ぐ方法など、状況によって検討できることがあります。
一方で、すべての会社が必ず再生できるわけではありません。時には、事業を終えることも経営判断の一つです。大切なのは、できるだけ早い段階で状況を整理し、経営者自身が納得できる選択をできるようにすることだと思っています。
厳しい場面であっても、一人で抱え込まず、一緒に考える相手がいることは非常に大切です。
事業承継やM&Aについては、どのような視点を大切にされていますか?
事業承継やM&Aは、会社を誰かに引き継ぐための単なる手続きではなく、それまで築いてきた事業をどう未来につないでいくかというテーマだと思っています。
財務や株式、契約など法的な整理はもちろん必要ですが、経営者が何を残したいのか、従業員や取引先をどう考えているのかといった部分も非常に重要です。
金融機関では、多くの中小企業経営者と接してきました。会社は単なる資産ではなく、経営者の人生や地域とのつながり、人の雇用など、多くのものを背負っています。だからこそ、数字や条件だけではなく、その会社にとってどんな形が一番良いのかを丁寧に考える必要があると思っています。

多くの中小企業を見てきた中で、伸びる会社の共通点はありますか?
一つ感じるのは、問題を早く見つけて、早く動ける会社は強いということです。 問題がまったく起きない会社はありません。大切なのは、少し違和感を感じたときに放置せず、数字を確認したり、人に相談したり、必要な対策を取ったりできることだと思います。
もう一つは、外部の人の意見を上手に取り入れていることです。経営者自身が一番会社のことを理解しているのは当然ですが、ずっと同じ環境にいると見えにくくなることもあります。
金融機関、専門家、支援機関など、外からの視点も取り入れながら、自分たちで判断して前に進める会社は、環境が変化しても対応しやすいと感じています。
松戸で挑戦する人にとって、どんな可能性があると思いますか?
私は神戸市出身ですが、松戸市民として20年以上になります。長く暮らしてきたからこそ感じるのは、松戸は都心との近さと、地域としてのつながりの両方を持っているまちだということです。
事業を始めるうえでは、市外の市場も意識しながら、地域の中でお客様や取引先との関係をつくっていける。その両方を考えられるのは魅力だと思います。
また、地域金融機関や商工会議所、公的な支援機関など、事業者を支えるさまざまな仕組みがあります。そうしたものを上手に活用しながら、一人で抱え込まずに挑戦していくことで、可能性はさらに広がるのではないでしょうか。
私自身も松戸で長く暮らしてきた一人として、この地域で新しく挑戦する方々のお手伝いができればと思っています。
最後に、これから相談を考えている方へメッセージをお願いします。
中小企業の経営者の中には、「弁護士は敷居が高い」「できれば関わらずに済ませたい」と感じている方も多いと思います。 でも、法律はトラブルが起きたときだけ使うものではありません。契約や労務、資金調達、事業承継など、事前に法的な視点を持っておくことで、事業を守り、より強くすることもできます。
何か問題が起きてからではなく、「少し気になる」「この進め方でいいのだろうか」という段階でも構いません。まずは話していただくことで、見えてくることがあります。

