シェアオフィス

回線・電源・複合機を自分で揃えると、いくらかかる?——設備ごと借りるという考え方

行政書士として開業する。事務所を借りるつもりで、設備の見積もりを集め始めた——ネット回線の工事、業務用の複合機のリース、机・椅子・キャビネット、シュレッダー……。合計額は、想定をはるかに超えていた。しかも複合機のリースは月々の固定費として何年も続く。開業前の資金計画が、設備だけで軋み始めている——。

ここで一度、思い込みを点検してみてください。「借りるのは場所だけで、設備は自分で揃えるもの」——本当にそうでしょうか。実は、コワーキングスペースやシェアオフィスは、「場所」と一緒に仕事のインフラ一式を月額で借りる仕組みでもあるのです。

この記事では、自前で揃える場合の費目を洗い出し、「設備ごと借りる」という考え方と比較します。

自前で揃えると何がかかるか——費目の棚卸し

事務所を借りて設備を自前で揃える場合、見積もりに並ぶのはおおよそ次の費目です(金額は物件・機種・契約により大きく異なるため、個別の見積もりで確認してください。要確認)。

  • 通信:ネット回線の契約・工事、ルーター等の機器、(業務用なら)セキュリティの設定
  • 複合機:コピー・プリント・スキャン・FAX。業務用はリース契約が一般的で、月額+カウンター料金(印刷枚数課金)が何年も続きます
  • 什器:机・椅子・書庫・キャビネット・応接セット。椅子ひとつでも、長時間座る道具として妥協しにくい費目です
  • 細かな機器:シュレッダー、電話、モニター、延長コード類——一つひとつは小さくても、足すと効いてきます
  • 見えにくい継続費:電気代、機器の保守・消耗品、数年ごとの更新・買い替え

初期費用のかたまりに、月々の固定費と将来の更新費が続く——これが「自前」の全体像です。開業資金の計画(設備資金+運転資金)を圧迫しているのは、まさにこの構造です。

「席と一緒にインフラ一式」——含まれているものの中身

一方、コワーキングスペース・シェアオフィスの月額には、一般に次のようなものが含まれています(含まれる範囲・課金方法は施設により異なります。要確認:各施設のサービス内容)。

  • 通信:Wi-Fi(施設によっては有線LANも)。回線の契約も工事も、あなたの仕事ではありません
  • 電源・什器:各席の電源、机と椅子。仕事用に選ばれた環境が、初日から使えます
  • 複合機:共用の複合機を、従量課金(印刷した分だけ)などで利用。リース契約という数年の縛りを、自分で背負わずに済むのは大きな違いです
  • 共用設備:会議室、シュレッダー、フリードリンク、ロッカー等(施設による)

つまり、比較すべきは「事務所の家賃 vs 施設の月額」ではなく、「家賃+設備の初期費用+設備の月額固定費+更新費」vs「施設の月額+従量利用分」。この式で並べ直すと、見積もりに青ざめたあの合計額の意味が変わって見えるはずです。

金額に出ない価値——保守・更新・トラブル対応

さらに、見積書には載らない差があります。

  • トラブル対応が「施設の仕事」になる:回線が不調、複合機が紙詰まり、機器の故障——自前なら、業者を調べて連絡して立ち会うのはあなたです。施設利用なら、それは運営側の仕事。あなたの時間は、本業のために残ります
  • 更新・陳腐化のリスクを持たない:機器は数年で古びます。自前なら更新費の積み立てが必要ですが(収支計画の記事で扱った「更新積立」です)、借りる形ならそのリスクは月額に織り込み済みです
  • 使う量の変化に強い:印刷が多い月も少ない月も、従量なら使った分だけ。リースの固定費は、使わない月にも満額です

開業期の鉄則——固定費と初期投資は最小に——に照らすと、「設備を所有するリスク」を月額に変換できることの価値は、金額以上に大きいのです。

公平な比べ方——それでも自前が合う場合

公平のために、自前・専用事務所が合う場合も挙げておきます。

  • 印刷・スキャンが大量で、共用機の従量課金では割高になる業務
  • 特殊な機器・大量の書庫など、共用環境に載らない設備が必要な仕事
  • 事務所の独立性が登録要件で求められ、施設内の選択肢(個室等)では満たせない場合(要確認:各士業会の基準——席種の記事でも扱った論点です)

比べ方の手順はこうです。①自前の場合の費目を全部書き出す(上の棚卸しリストで)②施設の月額+自分の利用量での従量分を見積もる ③3年分の総額で並べる——初年度だけでなく3年で見ると、更新費とリースの重みまで含めた本当の差が見えます。

この試算は、開業資金の計画づくりそのものです。見積もりの束を持って、一度整理してみませんか。

見積もりの束、そのままお持ちください。
当施設でも、Wi-Fi・電源・複合機・会議室などを備えた席をご用意しています(設備の内容・料金・従量課金の仕組みはお問い合わせください)。見学では設備を実際にお確かめいただけます。あわせて、併設の無料創業相談では、「自前で揃える場合との3年比較」のような開業資金計画のご相談も歓迎です。設備の悩みは、資金計画の悩み——まとめてどうぞ。

まとめ

オフィス設備を自前で揃えると、回線・複合機・什器の初期費用に、リースや保守という固定費と更新費が続きます。コワーキング・シェアオフィスは「席と一緒に仕事のインフラ一式を月額で借りる」形であり、比較は「家賃+設備一式の総額」対「月額+従量分」を3年スパンで。

トラブル対応と更新リスクを手放せる価値も忘れずに。青ざめた見積もりは、設計を変えるきっかけです——「揃える」から「借りる」へ、選択肢を広げて計算し直してみてください。


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